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開いたスペースとオーナー
多くの観光客が往来する古都・鎌倉。にぎやかな小町通りから小路を進んだ住宅街に、本多理恵子さんが営むカフェ「リエッタ」はある。家族3人で暮らす住居に併設された店舗は、小さいながらも明るく、居心地の良さそうな雰囲気だ。
子育て環境の良さに惹かれ、十数年前に鎌倉へと転居してきた本多さん。そのころから「いつかは自分のお店を開きたい」という思いがあった。
「転居してすぐ、パートとして地元のレストランで働き始めたのですが、自分なりに『こうしたほうがもっとよくなる』というアイデアがあっても、人のお店だとなかなか口を出せません。実家が和菓子店だったこともあり、商売人の血が騒いでしまったんですね。だったら自分でやってしまおうと」(本多さん)
しかし、現実は甘くなかった。物件探しでいきなりつまずいてしまう。
「事業計画書と資金計画書をきっちりつくって、何十軒も不動産会社を回りました。でも、ほとんど門前払いでしたね。鎌倉にお店を出したい人って山ほどいるので、よほど潤沢な資金やコネがない限り、新参者はなかなか入れません。何の経験もない主婦の私にはハードルが高かったです。結局、不動産会社経由では良い物件には出合えませんでしたが、最終的には友人が所有する築年数の経ったアパートの1階部分を自宅兼店舗として借りられることに。いずれ取り壊して新築する予定で、それまでの期間限定であれば、住居の一部を店舗用に手を加えていいと言ってくれました」
ここなら店舗と住居を共用することもでき、育児と仕事を両立できるメリットもあった。「学校から帰ってくる子どもを『おかえり』と出迎えてあげたい」という本多さんにとって、自宅カフェは理想的な選択肢だったようだ。
さっそく転居し、一部をカフェスペースに改修。2006年に同店をオープンした。改修に思いのほかコストがかかったこともあり、収益にはこだわったという。開店当初こそ苦戦したが、お店の宣伝のためにと始めた料理サロンが軌道に乗り、今は料理サロンの会費とカフェの売上で収益も安定。観光シーズンには1日100人以上の客が訪れ、毎月15~20回の料理サロンはいつも満席。この日、料理サロンに参加した主婦からは「とにかく教え方が分かりやすいです。先生の人柄や、初対面の参加者の人ともすぐに打ち解けられるサロンの雰囲気も魅力的ですね。今では月1回くらい利用していますが、先生や友達に会いに来るのが楽しみなんです」との声が聞かれた。「主婦の方が日常を忘れてくつろげる場所をつくりたかった」という本多さんの思いは、しっかり実を結んでいるようだ。
マンションはオートロックを何重にもするなど、ある意味外部との関係性をシャットアウトしがちな構造ともいえるが、このように一部を開くことで、近隣住民をつなぐ地域コミュニティの拠点的役割を果たし、結果的に地域から必要とされる存在にもなりうるようだ。
知人が所有する築40年の2階建てアパート。1階の自宅スペースの約半分を店舗用に改装。居住用の玄関は別に設けられている
日当たりのいいウッドデッキのテラス席を新たに設けた。コストはかかったが、自らが理想とするカフェを追い求めた
通行人の目を引く場所に、メニューや料理教室の案内を掲示。足を止めてチェックする人も多かった
経営の経験がなく最初は苦労したという本多さんだが、「必ず黒字にする覚悟」で努力を重ねてきた
空いてるスペース
施主名 | 本多理恵子 |
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構想期間 | 1年 |
開いているスペースの面積 | 約15m2 |
開いているスペースの% | 約30% |
住所 | 神奈川県鎌倉市雪ノ下1-2-5 |
TEL | 0467-23-5360 |
ホームページ | http://ameblo.jp/caferietta/ |
営業時間 | 11:30~夕方(または売り切れ) |
定休日 | 月曜(土、日曜は不定休、冬期休業あり)、金曜は料理サロンのみ営業 |
アクセス | JR横須賀線鎌倉駅から徒歩5分 |
建物形態 | 一軒家 |
取材・文/榎並紀行<やじろべえ> 撮影/藤本和成 間取図イラスト/tokico
情報掲載日/2014年2月28日
マンションの一部を地域に開いたコミュニティカフェ| 家を開く | SUUMO
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