不動産・住宅サイト SUUMO(スーモ)トップ > 家を開く > 実例一覧 > 地域の輪をつなぐ、癒やしのオープンガーデン
開いたスペースとオーナー
東京都練馬区で、実家の裏庭を使った「園芸療法」を行う海野真幸さん。裏庭に造成したハーブガーデンを地域に開放。四季折々の緑や花々が、訪れる人々の目を楽しませている。なかにはそのまま屋内に上がりこみ、お茶を飲んでいく人も。
「ここは地域のみんなの実家みたいな場所なんです」と海野さんは言う。確かに、この日もリビングの長テーブルには4~5人の来訪者が、まるで我が家のようにくつろいでいた。
幼少期から植物に触れることが大好きだったという海野さん。小学校の6年間、夏休みの自由研究は全て「押し花」。高校時代は花屋のアルバイトに熱中し、大学卒業後はガーデニングの本場イギリスへの留学を経て、生花市場に就職した。結婚を機に職を離れてからは、植物と人との関わりについて、さらに深く考えるようになる。そんな折に出合ったのが、園芸を通じて心や体を病んだ人を癒やし、心身のバランスを整える「園芸療法」だ。
「ちょうどそのころ、夫と母が立て続けに体調を崩していたこともあって、緑や植物が持つ癒やしの可能性について、もう一度しっかり勉強したいと思うようになりました。また、夫の負担を減らすためにも私が手に職をつけて、少しでも家計を支えたいという思いもありましたね。ただ、当時は2人の娘がまだ小さかったので、外に働きに出るのではなく自宅で何かできればいいなと考えていました」
そこで海野さんが考えたのは、生まれ育った実家で、これまでに培った園芸の知識を生かした教室を開くこと。さっそく裏庭にハーブガーデンを造成し、園芸と暮らしにまつわる「ハーバルライフ」講座をスタートさせた。また、4年前からはガーデンスペースを週イチで開放。見物客がふらりと立ち寄り、雑談していくことも増えた。海野さんは次第に、自ら開いたこの場所が地域交流の核となり、人の輪が広がっていることに気づき始める。
「みんな『居場所』を求めていたと思うんです。このあたりにも公民館などはありますが、公共施設だと使用時間も限られているし、なかなか血の通った交流はできません。その点、ここは普通の家ですから、ふらっと遊びに来て、何をするでもなく庭を眺めたり、おしゃべりできる。ただそれだけなんですけど、みなさん楽しそうに過ごされていますね」
こうした取り組みが認められ、3年前からは「練馬区福祉のまちづくりパートナーシップ支援事業助成事業」のサポートを受けられるようになった。区の公共施設などに講座のチラシを置かせてもらえるようになり、多くの人が海野さんの活動を知ることとなる。
今ではNPOを立ち上げ、自らのハーバルライフ講座に加えて、ここでイベントやワークショップを開きたい人たちにも場所を提供。料理教室、アロマ講座など、多彩な催しを実施することで、この場所を訪れる人はさらに増えた。
小さな庭から生まれた、一つひとつの小さな出会い。それは気づけば、地域をつなぐ大きなコミュニティへと成長しつつあるようだ。
毎週火曜のオープンガーデン当日は、午後から奥の和室でハンドトリートメントのサービスも(20分500円)
さらに、地域の農家で採れた野菜の直売も実施。無農薬・自然農法で育てた新鮮な野菜が並ぶ
表に立てられたオープンガーデンの案内板は海野さんの手づくり。ガーデンへの導線も仲間たちと共に自ら整備した
海野さん(中央)とNPO法人自然工房めばえのメンバー。この場所が縁を紡ぎ、交流の輪が広がっていく
空いてるスペース
施主名 | 海野真幸さん |
---|---|
構想期間 | 半年 |
開いているスペースの面積 | 約40m² |
開いているスペースの% | 約40% |
住所 | 東京都練馬区 |
ホームページ | http://www.s-mebae.com/ |
建物形態 | 一戸建て |
取材・文/榎並紀行<やじろべえ> 撮影/藤本和成 間取図イラスト/tokico
情報掲載日/2013年10月30日
地域の輪をつなぐ、癒やしのオープンガーデン| 家を開く | SUUMO
不動産・住宅サイト SUUMO(スーモ)トップ > 家を開く > 実例一覧 > 地域の輪をつなぐ、癒やしのオープンガーデン