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開いたスペースとオーナー
静岡県・伊豆高原駅前から続く桜並木通りを抜け、少し路地裏に入ったところにひときわ見事な庭をもつ一軒家が建っている。天然記念物のハコネサンショウバラ、展覧会にも出品できそうなほど立派なイワガラミ、白波のように可憐な花弁をつけるタツナミソウ、そして無数の美しい盆栽たち。植物園のような空間は、家主の宮嶋夫妻が丹念につくり上げたものだ。
「山野草や盆栽は20年前に以前の住まいから趣味で始めました。この庭はその集大成みたいなもの。今ではご近所さんだけでなく、観光客も見に来てくれるようになりました」とは夫の宏二さん。最近では病気になった自宅の植物を持って相談に来る人も多いという。ちょっとした鉢植えドクターだ。
8年前、宏二さんのリタイヤを機に神奈川県から移住。150坪の広大な土地に夫婦二人で暮らす小さな家屋を建て、残りは全て庭用のスペース。大好きな山野草と盆栽で埋め尽くした。
「伊豆高原に移住してきた当初は多少の不便さを感じましたが、車があれば十分生活できますし、何より都会ではこれだけの庭を手に入れることはとてもできませんでした。今では2000鉢くらいあると思います。水やりだけで毎日2時間くらいかかりますね。根詰まりや土の劣化を防ぐために、2年に1回は植替えもしなきゃいけないし、けっこう手間がかかるんですよ」と言いながらも、庭を見学に来たお客さんに植物の解説をする宏二さんの表情は、活き活きと輝いて見えた。
味わい深い鉢も宏二さんの手づくり。自然に返るエコな素材を使用しているというが、詳しいことは「企業秘密」。
5月に伊豆高原で開催されるアートフェスティバルにもほぼ毎年参加。期間中はさらに多くの見学者が訪れる。
庭づくりのテーマは「自然に棲む生物と植物の共生」。敷地内にはメダカが泳ぐミニビオトープも。
希望により鉢植えの販売も行う。価格はその場で宏二さんが決定。手づくりの鉢も込みで1500円~ほどだという。
空いてるスペース
施主名 | 宮嶋宏二さん |
---|---|
家族構成 | 夫婦 |
構想期間 | 5年 |
開いているスペースの面積 | 413m² |
開いているスペースの% | 70% |
住所 | 静岡県伊東市 |
建物形態 | 一戸建て |
取材・文/榎並紀行<やじろべえ> 撮影/片山貴博 間取図イラスト/tokico
情報掲載日/2013年6月19日
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