貸主と借主が活発に交流する「賃貸併用」住宅
開いたスペースとオーナー
2011年、もともと祖父の代に建てた築40年以上の渋谷区の土地に「賃貸アパート併用」の二世帯住宅を建て替えたMさん。3階と2階の一部に自身と両親が暮らし、1階と2階に設けた5室を賃貸住宅として貸し出している。
「入居者の皆さんとは仲良くさせていただいていて、お話を聞く限りではご満足いただいているようです」
自身の自宅スペースは最小限にして賃貸住宅部分を広くしたり、無機質ではなく温かみのある空間づくりを心がけたりと、入居者の満足度を高める工夫も行ったというMさん。さらに、建物内の一角には共用のラウンジスペースも設けた。光が差し込む2畳ほどの明るい空間。レトロなレンガの壁と木目のあたたかいテーブルが印象的で、オシャレなカフェレストランのような雰囲気だ。
「入居者がここにお友達を招いたり、入居者同士のパーティーに利用したり、色んな用途で使えます。私たち管理人も含め、住人同士がコミュニケーションを深められる場所が欲しかったんです」
住人同士の親密なコミュニケーションはお互いの安心感を生む。貸主と借主という関係を超えた家族ぐるみの付き合いが、これからも続いていきそうだ。
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- 貸主と借主が
同じ建物の中に暮らす
- 3階建てのMさん邸。建ぺい率を目いっぱいまで使い、Mさん自身の住宅と、5室の賃貸住居をつくった。住人との関係も良好で、外に飲みに行くこともあるという。
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- 採光抜群の共用
「カフェスペース」
- 大きな窓が設けられた明るい雰囲気の共用スペース。住人同士が手料理を持ち寄って、ここでパーティーをすることもあるという。急な来客を迎えるときや気分を変えたいときにも利用可能だ。テラス風のスペースもあり、夏はここでバーベキューなどもできそう。
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- ホワイトボードに
書き込んで予約
- 住人は入口のボードに書き込めば、いつでも共用スペースを利用することができる。急な来客で部屋が散らかっているときなどにも、こんな場所があれば重宝しそうだ。
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- 入居者夫婦とは
家族ぐるみのお付き合い
- 新築当時から入居するTさん夫妻と貸主のMさんは家族ぐるみの関係。「管理人の顔が見えることで安心感があるし、気軽に相談できるのが有難いです」とTさん。
かかった費用は?
- 土地は戦後からの借地。地主さんへの建て替え承諾料と建築費用がかかったコスト。住宅ローンは現在のところ家賃収入で全て賄っているという。
アドバイスとこれからの展望
- 「入居者の方に長く住んでもらうことができれば、それだけ住宅ローンの負担も減ることになります。そのためにも入居者の方が満足する住まいであることが大事だと思っています。例えば更新の際。更新をお願いする立場なのですから更新料を頂くのではなく、逆に水まわりをリフォームするなどこちらからサービスを提供するとか。あとはいつでも気軽にコミュニケーションがとれる関係をつくっておくことも大事かなと思います。住人同士が顔見知りで常に声を掛け合うのは防犯にも役立ちますから、安心して長く住んでもらうことにつながります。そのためにも、こうした共用部を交流の場としてもっと活用したいですね。ソファーを置いたり、冷蔵庫を置いたり、もっと居心地のいい空間にしていきたいです」
間取りとDATA
施主名 |
M.Yさん |
家族構成 |
施主夫婦+長男+次男+両親 |
構想期間 |
1年 |
開いているスペースの面積 |
232.9m² |
開いているスペースの% |
約60% |
住所 |
東京都渋谷区 |
建物形態 |
集合住宅 |
取材協力 |
旭化成ホームズ |
取材・文/榎並紀行<やじろべえ> 撮影/藤本和成 間取図イラスト/tokico
情報掲載日/2013年2月27日
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